読む台湾茶

高山茶を味わう③よい茶葉を買うために

2019/8/24 更新

包装場に行って気づいたこと

中国における台湾茶のブランド力はすさまじく、中でも台湾高山茶は台湾にやって来る中国人観光客の定番土産になっています。もちろん台湾国内でも高山茶は人気があります。現在高山茶は深刻な供給不足に陥っており、輸入した茶葉に「台湾高山茶」のラベルを貼って売らなければいけないのが現状です。

私は台湾中部、標高300mの南投県名間郷にある包装場を訪ねました。包装場とは、茶袋や化粧箱を売る専門店のことです。名間郷は台湾を代表するお茶の一大産地です。農家は完成したお茶を包装場に持ち込んで、150gや300gの真空パックにしてもらいます。多くの茶農家は自身では包装設備を持たないため、大概の茶産地にはこのような包装場があります。

包装場で売っている茶袋や化粧箱は数百種に及びますが、その約7割に「高山茶」と印刷されています。2005年当時の値段は茶袋13円、化粧箱25円から。繰り返しますが、ここは標高300mです。もちろん高山茶区からお茶を持ってくることはあるとしても、これほどの高山茶のパッケージの多さは不自然だと思いませんか。

包装場の入り口。ラミネートの機械が見えます。

茶袋のほとんどが「高山茶」

偽装茶のニュースは毎年世間を騒がせています。記憶に新しいところでは、有名なお茶屋さんがいくつも手を組んで、海外から不正に仕入れた茶葉を台湾茶として販売していました。消費者は一体何を信じてお茶を買えばよいのか、深く考えさせられました。

良いお茶を買うために、私達ができること

良いお茶を手にするためのテクニックはあちこちで公開されています。

観光地では買うな、いくら以上のお茶を買え、何番目に高いお茶を買え、常連でないと良いお茶は買えない、農家から直接買えなど。これらの聞こえのよいテクニックには共通点があることに気づいたでしょうか。そう、お茶そのものには何も触れてないのです。

それもそのはず、烏龍茶の目利きは自然飲料の中で最も難しいと言われています。野菜や果物と違って、見た目では良し悪しが分かりません。味覚センスを磨けばマスターできるものでもありません。私の経験で言えば、10年くらい日々試飲を繰り返してぼんやり自分なりの基準軸が見えてきました。と同時に、同じお茶は2つとして存在しないことを知り、鑑定の勉強には終わりがないことを悟りました。

目利きに自信がないなら、次にできることは何でしょう。それは、人つまりお茶屋さんを選ぶことです。自力でお茶を選ぶことに比べたら、お茶を選べる人を選ぶほうがはるかに容易です。自分である程度の知識を持っていれば、お茶屋さんの言ってることが正しいかどうかは判断できるでしょう。

私もお茶を探す時には、お茶の選定と同じくらい人間観察を大事にしています。良いお茶の確保は早いもの勝ちですから、時間との勝負でもあります。雑談のうちに「この人はお茶を選べない」と気づいたら、もうそこいる理由はありません。茶葉を見せてもらう必要もなく、席を立ち、次の候補へ向かいます。

日本で買うか、台湾で買うかという議論もありますが、それも重要ではありません。間違ったことを言う人に良いお茶を選べない、というシンプルな発想のほうがよほど大切です。

私達ができる唯一のことは、根拠のないコツやテクニックに頼らず正しい知識をコツコツ増やしていくことです。

さあ、高山茶を飲みましょう

台湾茶を学ぶ上で、高山茶にはたくさんのエッセンスが含まれています。人間の味覚は不思議なもので、きちんと理解して飲むことでお茶が何倍にも美味しく感じられます。

私はたまたま口にした一杯の阿里山高山茶がきっかけで台湾茶の虜になりました。その感動を毎日思い出しながら、高山茶の魅力を広めていきたいと思います。

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