読む台湾茶

四季春からはじめよう

2020/7/7 更新

台湾茶には様々な品種があります。お米にコシヒカリやあきたこまちといった品種があるのと同じです。そして、人それぞれ好みが違います。

台湾茶も品種によって個性が異なり、楽しみ方も異なります。今回は初心者に人気のある四季春(しきはる、しきしゅん)をご紹介します。

四季春が初心者に人気の理由

四季春は特に初心者に好まれる品種です。ショップでは初心者向け商品としてラインナップされていることもあります。ところで、初心者向けとはどういう意味でしょうか?上級者向けとは何が違うのでしょうか?まずは四季春の特徴を整理してみましょう。

①味が分かりやすい

四季春は味わいはくっきりして、心地よいキレがあります。初めて台湾茶を飲んだ人は、その時の感動をよく「口に含むといっぱいの幸せに包まれる感覚」と表現します。四季春の味わいはそのイメージに近いものを持っています。四季春の香りはよくブーケに例えられます。一本の花の香りではなく、様々な花によって織りなす複合的な香りです。

②抽出がよい

四季春は抽出がよく、特性が観察しやすいです。1煎目のはじめの一口から四季春の個性をしっかり楽しめます。良い茶葉を使えば、どんな茶器でどう淹れても美味しく抽出できます。鉄観音や佛手といった品種は、初心者にはちょっと観察が難しいかもしれません。これらは煎を重ねる中でじわじわ魅力を発揮してくるタイプです。

③値段が安い

四季春はたいへん生育がよい品種です。収穫を機械で行う機械摘み、つまり大量生産にも適しています。生産コストの安さは当然値段にも反映されます。高山茶によく使われれる青心烏龍と比べると、機械摘みの四季春はおおむね半額で購入できます。これも四季春が愛されるポイントです。

四季春のちょっと残念な点

①品質差が大きい

四季春は良いお茶とわるいお茶の品質差が大きいです。高山茶と間違えるほど滋味豊かな良品がある一方で、わるいものの中には、どう淹れても飲むに耐えないものもあります。初心者が不運にもわるいお茶に当たって、その後ずっと台湾茶に対してマイナスイメージを持ってしまうケースもあります。

②煎はやや少なめ

他のお茶が10煎まで楽しめるとしたら、四季春は6~7煎でしょうか。生育が速い分だけ、茶葉に蓄えている旨み成分は少なめです。1煎目から力強く美味しさを放出し、比較的早く終わるのが四季春の特徴です。

③上級者には物足りない?

四季春は飲み口が爽快です。すぐに四季春だと気づくほどインパクトがあります。では、飲み干した後の余韻はというと、四季春は余韻は短めです。味覚の傾向として初心者は「キレのよさ」を重視し、上級者は「余韻の長さ」を好むと言われています。そのため、初心者にとっては十分満足の美味しさでも、上級者にとっては何か物足りなく感じる人もいます。

こんなシチュエーションにおすすめ

以上、四季春の良い点とわるい点を見てきました。これらの特徴を踏まえて、四季春がどんなシチュエーションに向くかを考えてみます。

①しゃきっとしたい朝に

キレのよい四季春は、パワーがほしい朝にぴったりです。キレは人間にとって快感をもたらします。不快物質である苦味が、一瞬だけ大きく増幅して、すっと消えてなくなる。その落差が大きいほど「キレが良い」と言います。一日の始まり、仕事のスタートダッシュに四季春は最適です。

②昼食後の一杯に

四季春はキレがよく、口の中をすっきりさせてくれます。昼食後やちょっとした休憩タイムに四季春を召し上がってみてください。もやもやした気分を吹き払ってくれます。

③とにかく手軽に飲みたい

四季春の多くは機械摘みです。機械摘みは刈り取りにかかる時間が短く、生育のベストタイミングで一気に収穫できます。また、端々が切れた茶葉を含むため1煎目から安定した抽出が得られます。何十回も煎が利く品種ではありませんが、安くて手軽に楽しめるメリットは大きいと思います。

おすすめの茶器

四季春はどんな茶器にも適しています。茶壺でも急須でもマグカップでも、お気に入りの道具で淹れてみましょう。台湾茶が初めての方は「今すぐできる、台湾茶の淹れ方」もご覧ください。抽出時間の目安は商品ページを参照してください。

まとめ

四季春は初心者向きの品種とよく言われます。初心者向きのお茶とは、初めて台湾茶を口にする人でも個性が観察しやすいお茶を指します。その代表が四季春です。

台湾茶のはじめの一歩を踏み出そうとしている方へ。まずは四季春から親しんでみませんか。四季春をじっくり味わって、味覚や観察力を磨いていきましょう。そして、より繊細な品種にチャレンジしてみてください。

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