読む台湾茶
冷茶を極める
2020/6/10 更新
6月に入り、蒸し暑い日が多くなってきました。普段温かいお茶しか飲まない人でも、冷茶(アイスティー)が恋しくなる季節です。
近年台湾では冷茶が流行しています。手軽にのどを癒やしてくれるのはもちろんのこと、茶葉が入ったタンブラーをおしゃれアイテムとして持ち歩く人もいます。
そこで、今回は基本の冷茶レシピを3つご紹介します。店主おすすめの茶葉もお教えします。抽出法×茶葉の組み合わせ次第で、冷茶の楽しみは無限に広がります。ぜひチャレンジしてください。
冷茶をおすすめする理由
「台湾茶は作法が難しいし、まして冷茶なんて。」と初心者は腰が引けてしまいがちです。でも、ご安心ください。温かいお茶よりも冷茶のほうが、淹れ方も楽しみ方もシンプルなんです。まずは冷茶のメリットを挙げておきましょう。
用意するもの
麦茶サーバー、カフェオレボウル、マグカップ、ペットボトル、ワイングラス、お茶碗など。どんな器でもOK。中国茶用の茶海もおすすめです。
茶葉をティーバッグに詰める必要はありません。茶葉が大きく広がっていく光景もお楽しみください。ティーバッグを使う場合は、余裕を持ったサイズのものをご用意ください。
極上の冷茶レシピ【保存版】
抽出法は大きく3つあります。お湯出し、水出し、ハイブリッド法です。それぞれに異なるメリットがありますので、一つずつ解説していきます。
① お湯出し
お湯150~200ccに対して茶葉1gが目安。熱湯を注いで3~5分待ちます。抽出液が熱いうちに、氷をたっぷり入れたグラスに一気に注ぎます。お湯出しは香り立ちがよく、シャープな味わいの冷茶が楽しめます。
軽く茶葉を開かせてから冷蔵庫で抽出する方法もあります。まず半量のお湯を注ぎます。しばらく待って、水を加えて濃さを調整したら冷蔵庫で冷やします。茶葉は入れっぱなしで大丈夫です。
② 水出し
水120~150ccに対して茶葉1gが目安。水は常温でも冷水でも大丈夫です。室温で1時間静置、または冷蔵庫で2時間以上かけて抽出します。水出しは香りが穏やかで、口当たりはしっとり。口に含むと花香がふわっと広がります。濃くなってきたら水を差してください。
手軽に試してみたい方は、500mlのペットボトルにスプーン1杯の茶葉をとって、水を注いでみましょう。
③ ハイブリッド法
はじめの数煎は、茶壺や蓋碗など本格的な茶器でお楽しみください。茶葉にいくらか余力を残しておき、タンブラーに移して水を加えたら冷蔵庫で冷やします。すでに茶葉が開いているので短時間で抽出できます。香りは高く、口当たりは柔らか。お湯出しと水出しのいいとこ取りです。
店主厳選、冷茶向きの台湾茶6選
冷茶はどの茶葉を使っても作れます。その中から、店主おすすめの茶葉と抽出法をご紹介します。
① 高山茶
高山茶の凝縮した旨みは冷茶でも楽しめます。軽火は玉露のようなまろみ、中火は香りとコクの2段階の旨みが魅力です。抽出液は黄金の輝きを放ちます。高山茶×水出しは、台湾茶ファンの間では最も定番の組み合わせです。
あと、厳密にいうとこれは高山茶ではありませんが、文山包種茶も一押しです。中でも標高高め、新芽多め、発酵やさしめのタイプの文山包種茶は特に冷茶向きです。
② 明前碧螺春
輝きのある水色と新緑のフレッシュさが魅力です。おすすめは水出し。しっかり冷やして、クリーンな抽出液と上質なのどごしをお楽しみください。お湯出しの場合は、少し冷ましてからお湯を注いでください。きれいな水色を保つことができます。
③ 機摘四季春
四季春のすっきりした若草の香りが暑気を払ってくれます。軽火・中火はお好みで。色々試したところ、旧茶よりもみずみずしい新茶のほうが冷茶向きでした。抽出法は問いませんが、せっかくなので機械摘みの抽出の良さを活かしましょう。熱湯でさっと抽出して、オンザロックで召し上がってみてください。
④ 東方美人
まるでフルーツティーを飲んでいるよう。液体の甘さと見た目以上の奥深い味わいに誰もが驚きます。おすすめは水出し、ハイブリッド法。発酵茶の魅力をじっくり引き出してあげましょう。普段どおりに楽しんで、最後の一煎に水を張っておくだけでも絶品の冷茶ができあがります。
⑤ 木柵正欉鐵観音~精撰茶包
鉄観音の喉韻がティーバッグでも楽しめます。喉韻とは、喉を通った後に戻るハッカを思わせる清涼感と桃系の果実香です。どの抽出法にも適していますが、おすすめは沸騰したやかんの火を止め、ティーバッグを入れて蒸らす方法です。抽出がよく処理も簡単です。麦茶感覚でお試しください。
⑥ 台湾ジャスミン茶
香りだけでなく、お茶として美味しい当店のジャスミン茶。冷茶もおすすめです。鼻から抜けるジャスミンの香りに癒されてください。ジャスミン茶の冷茶は、キリッとした印象のお湯出し派と、まろやかな水出し派でしばしば意見が対立します。店主は水出しに一票を投じたいと思います。
さあ、極上の冷茶を作ってみましょう
お店で飲むよりも安く、美味しい冷茶が作れたら嬉しいですよね。ちょっとしたコツを押さえれば、誰でも美味しい冷茶を楽しめます。また、茶葉と抽出法の組み合わせを変えることで、バリエーションはいくらでも増やせます。
この夏は、あなたのお気に入りの冷茶レシピを見つけてください。