読む台湾茶

春茶と冬茶

2022/2/16 更新

春茶と冬茶、どちらが好きですか?

昔はよく「香りの春茶、味の冬茶」といった半ばイメージで春茶・冬茶が語られていたものですが、本当にその通りでしょうか?

台湾茶のベストシーズン、春茶と冬茶の違いを考えていきましょう。

春茶とは?冬茶とは?

①春茶は主に3~5月

春茶は中南部の暖かいエリア、標高の低いエリアから順々に製茶が始まります。春の訪れが楽しみなのは日本人も台湾人も同じです。

②冬茶は主に10月~11月

冬茶は逆に涼しいエリア、標高の高いエリアから製茶が始まります。お茶の樹にとっては冬眠前の最後の踏ん張りどころです。冬茶は製茶量が少なく、春茶の半分ほどです。

春茶の魅力

①味にメリハリがある

冬の間、お茶の樹は凍えないようにたっぷり栄養を蓄えて休眠します。そして春を感じると新芽に滋味が移っていきます。そのため春茶の味わいは濃く、輪郭がはっきりします。

②香りがはじける

春はお茶の樹が生育旺盛です。生長が速いため細胞間のすきまが大きくなり、香りが飛び出しやすくなります。そのため春茶の香りは明るく、伸びるように広がります。

冬茶の魅力

①茶湯が甘い

日に日に涼しくなっていく季節。茶葉は時間をかけて、ゆっくり大きく生長します。そのため葉脈のキメは細かくなり、茶湯はしっとりした質感になります。甘く、余韻が長く、喉が心地よく潤います。

②味・香りがやさしい

一言でいうと、きれいな味わいです。冬茶は味わいの密度が高くなります。春茶ほどの派手さはなく、緻密で、体にすっと浸透していくような奥ゆかしさを持っています。

写真で見る 春茶と冬茶

①機摘四季春[軽火]

分かりやすい例として、機械摘み四季春[軽火]の春茶と冬茶を観察してみましょう。四季春は、1年を通じて春のような爽やかさを持っている品種です。

春茶はすぐに香りが開きます。朝の草原のような清々しい香りです。一方、冬茶は四季春らしさを持ちつつも、香りは手摘み茶のように悠々としています。

春茶の味わいはくっきり明瞭です。お茶の旨みがダイレクトに届きます。冬茶はしっとりした茶湯の中に甘さを感じます。口に含んだ瞬間ではなく、時間差で美味しさが広がってきます。

冬茶は茶葉が大きくて肉厚ですね。5gの茶葉の粒数は春茶117、冬茶106でした。

ここで一つ抽出のコツをご紹介します。冬茶は春茶よりも茶葉が開きにくく、抽出不足になりがちです。茶器をしっかり予熱をした上で、お湯の温度を上げるか抽出時間を長くしてあげましょう。

②梨山高冷茶~碧緑渓茶区

続いて台湾最高峰、梨山高冷茶・碧緑渓茶区を比較してみます。春茶は1年前のロットを持ってきました。

春茶のいきいきした高山気は健在でした。しかも熟成由来の南国果実の甘みが交わっています。1年半寝かせたことで、新茶にはない新たな魅力が現れています。

冬茶の茶湯はクリスタルのように澄んでいます。そして、なめらかな喉越しが卓越しています。青心烏龍という品種は味わいが凝縮しやすく、高山地域の冬茶は余韻が特に長くなります。

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最後に、梨山高冷茶の茶殻を観察してみます。ちなみに5gの茶葉の粒の数は春茶34、冬茶27でした。

春茶と冬茶でこれほど差があります。そうなれば、春茶と冬茶の味・香りの特徴も、淹れ方も、楽しみ方も違ってきて当然ですね。

春茶と冬茶 のみくらべを楽しむ

①初心者:春茶で特徴を知り、冬茶で奥深さを知る

台湾茶が初めての方は、味・香りが観察しやすい春茶から始めるとよいでしょう。いったん産地の特徴を押さえると、冬茶の魅力である喉が心地よく潤っていく感覚がつかみやすいです。

②中上級者:熟成を加味する

熟成にともなう味の移ろいを考慮してお茶を選びましょう。春茶と冬茶は同じ抽出法で良いのか、どんなお茶請けと相性がよいかも合わせて考えてみましょう。

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