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茶葉鑑定 きほんのき3・茶質とは

"茶質"という評価軸

茶葉の鑑定において欠かせないものは客観性です。鑑定の目的は「よい・わるい」を判断することですから、ここでは「うまい・まずい」といった個人的嗜好は横に置いておきましょう。

茶葉の「よい・わるい」を見極める際に、最も基本となり重要なポイントは“茶質”(cha zhi)です。単に“質”と呼ばれることもあります。茶質とは、平たく言うと「茶葉から抽出されうる滋味成分の量」です。

一般に、茶質が多いほど「よい茶葉」です。茶質が多いということは滋味成分の総量が多いわけですから、結果的に何煎も淹れられるということにつながるわけです。

10煎まで出せるとすごい?

よく「この茶葉は10煎目まで淹れられるから高級だ」といいますね。良質の茶葉であることを示すための常套句となっていますが、この表現はちょっとしたカラクリを含んでいます。

それは、薄く淹れたお茶10煎分は、濃いお茶の5煎分、場合によっては3煎分にしか相当しないこともあるからです。濃いお茶が好きな人もいれば薄いお茶が好きな人もいます。一般に日本人は台湾人よりも薄目を好む傾向にあるからでしょうか、ついつい数字が大きいほど良いお茶に違いないと信じてしまいがちです。 

似てるからこそ比べる

前置きが長くなりました。今回は茶質をフェアに比較する方法をご紹介します。

まず、同じ茶器を2組用意します。レピシエのテイスティングカップのような形状の白い磁器がベストです。そして、2種類のサンプルを用意してください。

茶葉は、例えばA店の梨山高冷茶とB店の梨山高冷茶といったように同じ種類のもの、または摘茶方法・発酵・焙煎などが同程度で別産地の茶葉を用意します。焙煎度が違うと判定が難しくなるのでお勧めしません。また、両者に共通点がない茶葉は比較自体に意味がありません。

それぞれ標準的な形状の茶葉を選び出します。形は良すぎても悪すぎてもいけません。そして、てんびんを使うなどして、等量きっちり計ります。茶葉の量は、茶器の容量に対して30分の1から50分の1(3~5g)を目安にしてください。お湯の温度は微調整が難しいですから、沸かしたての熱湯と決めてしまいます。ここでは美味しく淹れることが目的ではないので、緑茶であっても熱湯を使用します。

次に、十分に温めた茶器に茶葉を入れ、お湯をいっぱいに注ぎます。3~4分(あらかじめ決めておく)たったら、温めておいたカップに移します。 

茶湯の中身を観察する

さあ、茶湯をよーく観察してください。どちらのお茶が茶質をより多く含んでいますか?

ここで注意していただきたいのは、茶湯の色が明るいとか暗いとか、透明度が高いかどうかという表面上の比較をしているのではありません。それよりも、茶湯の質感に注目してください。

それには、まずカップの中の茶湯の中心部分をよく観察し、それからお茶全体の質感を見ます。そのときに、液体中に茶葉の成分がどの程度抽出されているかに重点を置いて観察してください。

目を凝らして両者を比べると、滋味成分が豊富に含まれている茶湯にはどっしりと重厚感があり、滋味成分が少ないものは、もう一方に比べて実詰まりのないあっさりした感じに見えるはずです。

この違いは、はじめは分かりにくいかもしれませんが、何度か練習を重ねるうちに見分けがつくようになってきます。最も水に近いペットボトルのお茶を用意して、同時に観察してみてもよいでしょう。

詰まってる茶湯とは・・・

滋味成分が詰まってる、つまり茶質の多い茶湯には次のような特徴がみられます。

まず、カップに移し変えるときにできた泡が消えにくいことです。茶質の少ない茶湯というのは、換言すると、水に近いわけですから、カップの縁に残った泡はすぐにプチプチとはじけてなくなってしまいます。

さらに、茶質が多いと茶湯がとろっとしています。そして、湯気の上がり方がゆっくりなはずです。味噌ラーメンと醤油ラーメンをイメージしてみてください。

一通り観察を終えたら、実際にスプーンですくって、空気を含ませるように茶湯をズズッとすすります。「茶湯の中に含まれるお茶の旨み」が強いのはどちらですか。苦味、渋味のことではありませんよ。もし香りが邪魔するようでしたら、鼻をつまんですすってみましょう。

お茶湯の色の濃さと茶質の多さは必ずしも一致しませんね。 

「よい」茶殻は、とても気持ちよい

再度熱湯を注ぎ、1煎目と同じ時間で抽出します。2煎目以降は両者の差は徐々に広がって観察しやすくなります。観察方法は同じです。4煎目くらいまで繰り返してみてください。

最後に茶殻を見ておきましょう。茶質の多い方の茶葉は、しっとりと柔らかくなっています。成分を出し切ったしなやかな茶葉は磁器の内側面に張り付くこともあります。茶質の少ない方は、茶葉が硬いままで、ごわごわして体積が大きくなっています。淹れた後も茶葉が硬いということは、滋味成分が効率よく抽出されなかったことを意味します。

茶殻については、次号でもう少しお話ししましょう。 

茶湯の光沢や香り・濁りも重要ですが、まずは何よりも茶質の鑑定です。茶質のないお茶は何煎も淹れられず、結果的に茶葉をたくさん投じなくてはならないのです。

よい茶葉とわるい茶葉

今回は滋味の「よい・わるい」には触れませんでしたが、一般的な傾向として、茶質が多い茶葉は滋味の質も高く、茶質が少ないと滋味が不安定で雑味が現れやすいです。茶質の少ない茶葉は、3煎も淹れれば、あとは色ばかりでほとんど水を飲んでるようなものです。

「よい茶葉は少ない量で何煎も淹れられる」という法則を正しく理解できましたか。

当店と他店の茶葉を比較する時や、現地で買ってきた茶葉と日本のショップで買った茶葉を比較する時などに思い出してみてください。 

メールマガジン 2004/9/20号より(2008年4月改訂)

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