ぶんさんほうしゅちゃ

文山包種茶

文山包種茶のふるさとは、台北近郊の文山地区一帯。中でも坪林茶区は、澄んだ空気とおいしい水に包まれた地域で、水源保護区により自然環境が厳しく守られています。

文山包種茶は、軽めの発酵でさわやかな台湾茶です。当店は標高の高い茶園からセレクトしており、心地よい高山気が感じられます。熱湯で、立ち昇る香りをお楽しみください。

新茶レポート

茶杯に注いだ茶湯の縁がつややかに輝く光景が、味わう前から期待を膨らませてくれます。
気温差が大きい坪林茶区の空気感を詰め込んだ、透明感いっぱいの味わいで、花香と呼ばれるフローラルな香りが鼻の上へと抜けていきます。
舌ざわりは、まるで肌に吸い付くような質感のシルクを思わせます。舌の上で茶湯が唾液と交わることで、茶葉から甘さの"カプセル"がそっとほどけ、口と喉が潤いに包まれます。
文山包種茶の魅力を余すところなく感じられる、完成度の高い1ロットです。(2025年7月5日入荷)

天空にのびのび広がる花香
杯が止まらない、その秘密とは・・・

当店の文山包種茶は、かぐわしい花香青心烏龍種を採用しています。坪林茶区では、古くから「種仔旗」と称賛されている品種です。

各シーズン、十数軒の茶農家・茶荘から茶葉を一同に集めることから始めます。そして様々な角度から品質テストを繰り返し、最高の1ロットだけを仕入れています。

文山包種茶のテイスティングのポイントは、青っぽい匂いです。緑茶の良さも烏龍茶の良さも持っている文山包種茶は、花香と呼ばれるフローラルな香りが魅力です。ところが、発酵が軽いゆえに、わずかな条件の違いで、植物の青みが出やすいのです。力強い花香とピュアな爽快さを両立した文山包種茶は、簡単に作れるものではありません。

続いて滋味の穏定性をチェックします。文山包種茶は、茶液が冷めると、良し悪しがはっきりと滋味に現れます。良質な茶葉は、どの温度帯でも味わいが崩れません。つまり、良いお茶は何煎までも美味しく飲めます

その他にも、摘茶時期に応じて発酵を微調整したり、乾燥の強度を細かく指定するなど、作り手との協議を重ねて完成に至ります。こうして、新茶はもちろん、いつまでも美味しい文山包種茶が完成します。

包種茶の名称は、紙で仔(青心烏龍)をむことに由来します。

包装資材が未発達の時代、お茶屋さんは38.5×35.5cmの木版、石版、銅版印刷された包装紙で茶葉4両(=150g)を一包みにし、店名の朱印を押して茶葉を包んでいました。

包装紙のデザインは台北市茶商業同業公會への届出制でした。タイへの輸出用には、中国向けには獅子鴛鴦など現地で縁起のよい動物をモチーフにした包装紙がよく使われました。識字率が高くなかったため視覚に訴えるデザインが好まれたそうです。

台湾では包種茶は縁起が良いお茶です。願いが叶うことを意味する(種に発音が近い)と包む、とかけています。受験生のプレゼントによく使われます。

店主がこだわり抜いた文山包種茶、どうぞご賞味ください。

お茶のデータ
商品名称 文山包種茶
ぶんさんほうしゅちゃ
生産地 台北縣坪林郷
茶樹の品種 青心烏龍
摘茶時期 2025年春茶:4月下旬
茶園の海抜 600〜700m
発酵度 軽発酵(10~13%)
推奨茶器 磁器製の茶壺・急須、蓋碗、マグカップ、グラス
茶葉の分量 茶壺・急須・蓋碗 → 4分の1弱
マグカップ、グラス → スプーン1杯
お湯の温度 85~95℃、冷水
時間の目安
(95℃)
茶壺、急須 → 45秒
蓋碗、マグカップ、グラス → 蓋をして50秒
(2煎目 -5秒、以降 +10秒ずつ)
文山包種茶の3つの楽しみ方

95℃の湯で淹れる 
→ 新緑の香りが楽しめます。茶器を充分温めてから、沸かしたてのお湯をゆっくり回しかけ、蓋をして蒸らします。熱湯で淹れると品質の悪い茶葉ではえぐ味が出ますが、当店の包種茶は熱湯で淹れても大丈夫です。

少し冷ました湯で淹れる 
→ 優雅な旨みを引き出すことができます。ふくよかな後味が口中を包み込みこみます。アフタヌーンティーに最適です。

水で淹れる 
→ 9分目まで水を入れた500mlペットボトルに大さじ1杯の茶葉を入れ、軽く茶葉をなじませます。そのまま2時間静置して完成。半分飲んだら水を足し、茶葉が完全に開くまで数回楽しめます。栄養を最も効率よく吸収する方法です。アイスティーもおすすめ。

ワンポイントアドバイス

夏場は淹れた後の茶壺・蓋碗の蓋をあけて放熱しましょう。これにより、次の一煎もクリーンな美味しさを楽しめます。中国茶道の知識です。

よくある質問
文山包種茶に高山気はないと聞きました
高山気とは、お茶をズズッと空気を含ませるようにすすった時に、鼻から頭に抜ける清涼感のことです。「標高1000m以上のお茶に見られる特徴」と一般に言われています。実際には、標高500-700mの台湾北部・坪林茶区の文山包種茶でも、高山気が観察できることは多いです。

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