きかいつみしきはる・ふっこあじ

機械摘み四季春【復古味】

四季春は清々しい香気を持つ人気品種です。四季春の特性をいかした熟成茶に挑みました。

店主のコメント

四季春の伸び広がる若々しい香気は健在。口当たりは柔らかさを増し、凝縮した甘さはネクタリンシロップのように絡んできます。熟成味は心地よい程度。重たすぎず、余韻はさらっと。引き際には四季春特有のミントの爽快さがそっと顔を覗かせます。
茶湯が冷めると、今度はまた別の魅力が発揮されます。四季春の躍動感は落ち着き、はちみつのように液体がとろっとして高山茶のような質感が現れます。きちんと火が入ったので、この独特の風合いはしっかりと固定されました。(3月29日レポート作成、6月2日入荷)

特別商品 機械摘み四季春【復古味】

熟成茶を手掛けたのは何年ぶりでしょう。納得の出来栄えです。

2019年春に製茶した機摘四季春~中火を脱気保存しておきました。脱気保存とは、空気をしっかり抜いてアルミ袋で密封し、太陽光と温度変化を避けてお茶の熟成を促すことです。密封とはいっても、実際には袋の中にわずかに残った空気によってお茶はじわじわと酸化していきます。

熟成速度を抑える目的で脱酸素剤(エージレス)を袋に入れるケースもあります。脱酸素剤は酸素を一定量吸収してくれてお茶の熟成速度を抑制してくれます。ただし、脱酸素剤を使うかどうかは茶葉の状態によって判断が必要になります。

当ロットは、元々お茶の水分率が低いため脱酸素剤を入れないでじっと熟成を待ちました。

■四季春の熟成感

熟成期間は4年を目安にしたいと当初から考えていました。

4年という期間は他の台湾茶からすると短いのですが、四季春なら十分個性的な風合いが出るであろうと期待していました。四季春という品種は、高山茶によく使われる青心烏龍と比べて生育が早いです。そのため他品種よりも葉脈の繊維のすきまが大きく、酸素の影響を受けやすくなります。

■4年ぶりの作戦会議

2023年春を迎えました。4年ぶりの再開です。封を切る前からわくわくが止まりません。

まずは外観。茶葉の光沢がすっかり落ち着いています。これは茶葉に水分が戻って水分量が多くなっている状態を意味します。また、1煎目よりも2煎目で味を感じやすいことからも、水分率は高くなっていると言えます。一方、液体には重厚な風合いが感じられます。新茶には決してない、落ち着いた色味と膨らみのあるコクです。

この魅力を最大限に立たせるためにどう火を入れるか、焙煎師と議論を重ねました。そういえば、焙煎師とお茶を囲んでレシピを組んだのも4年ぶりです。

繊細な口当たりと郷愁を誘う味わいから【復古味】と名付けました。

お茶のデータ
商品名称 機械摘み四季春【復古味】
きかいつみしきはる・ふっこあじ
生産地 南投縣名間郷
茶樹の品種 四季春
摘茶時期 2019年春茶:4月上旬
茶園の海抜 300~400m
発酵度 中発酵
烘焙程度 中焙火
推奨茶器 各種茶壺、テイスティングカップ、蓋碗
茶葉の分量 茶壺 → 5分の1
テイスティングカップ、蓋碗 → 底が隠れる程度
お湯の温度 98℃前後
時間の目安
(95-100℃)
茶壺 → 40秒
テイスティングカップ → 蓋をして40秒
(2煎目 -20秒、以降 +15秒ずつ)
機械摘み四季春【復古味】の3つの楽しみ方

茶壺で淹れる → 全ての茶器を充分温めてから、お湯をゆっくり回しかけ、蓋をして蒸らします。茶杯に入っているお湯もかけてあげると、茶器の温度が下がらず、茶葉の開きがよくなります。

テイスティングカップで淹れる → 先に熱湯でカップを1分以上温めておきましょう。機械摘みは抽出が良いので時間をやや短めにします。

ワンポイントアドバイス

爽やかさと重厚な質感が共存していてお茶請けの幅は広いです。セミドライパインのジューシー感が四季春の清涼感とハーモニーを奏でます。後味の豊かさという点では、アプリコットジャムがアクセントになったザッハトルテが好相性でした。