ふぉーしょう・もくさくまおこんちゃく
佛手・木柵猫空茶区
佛手(フォーショウ)という伝統種です。茶葉が大きく仏の掌に似ているので、また仏手柑のように芳しい品種香を持つことから命名されました。鉄観音と同じ木柵茶区で細々と栽培されています。
口当たりはシルクのように柔らかで、一滴一滴に美味しさが詰まっていることを実感できます。小さい茶杯で舐めまわすようにお召し上がりください。
2023年・春茶レポート
もぎたて桃の香気と潤いたっぷりの舌触りが調和しています。ほのかなシトラス香がアクセントとなって、一瞬フレッシュジュースを飲んでいる錯覚に陥ります。1年半ぶりに良品に出合えました。(7月1日入荷→7月25日完売)
信じられますか?
時が経つほどに旨みが増すお茶、本当にあるんです
佛手・木柵猫空茶区は口当たりがやわらかで、丸みと甘みを帯びた香りが特徴的です。喉へしっとり届いて、放出された味わいが体内へ浸透するように行き渡ります。
きれいに広がった茶殻をご覧ください。これだけ大きいのに非常に繊細な味わいです。柔らかな光沢の茶湯からは想像を超えるほどの“茶質”がぎっしり詰まっています。その表れとして、湯気の上がり方がゆっくりです。
深みのある茶湯にもかかわらず、苦味もしつこさもありません。何煎飲んでも舌のザラザラ感や生臭味はありません。
焙煎回数が鉄観音よりも1回多いのは、佛手~木柵猫空茶区は発酵がやさしめなので、茶葉への負荷を抑えるため1回あたりの焙煎時間を短めにするからです。焙煎しては5~7日間休ませ、水分循環をみながら丁寧に再焙煎をくり返します。毛茶(初製茶)から1ヶ月以上、計100時間にも及ぶ焙煎工程は一瞬たりとも気を緩めることはできません。
時間を惜しまずじっくり火入れを施すことで旨みが凝縮され、10~20煎も愉しめるお茶に仕上がるのです。
良質な佛手~木柵猫空茶区は、熟成につれて確実に旨みが増していきます。数ヶ月で強い安定感、半年~2年で完熟果実の甘みが生まれます。作り手の間では「冬茶は春に、春茶は冬に飲め」と言われるほど、佛手は熟成に適した焙煎茶です。木柵正欉鐵観音と同じく時間をかけてお愉しみ下さい。
店主も季節毎に少しずつ手許に残して、大切なお客様に振る舞っています。店主にとっても、とっておきのお茶です。生産者が少なく良品に巡り合えない年もあります。大切に味わってください。
お茶のデータ
商品名称 | 佛手・木柵猫空茶区 ふぉーしょう・もくさくまおこんちゃく |
生産地 | 台北市文山區指南路三段(猫空茶区) |
茶樹の品種 | 佛手 |
摘茶時期 | 2023年春茶:5月上旬 |
茶園の海抜 | 300m |
発酵度 | 中~重発酵 |
烘焙程度 | 重焙火(4~5次火) |
推奨茶器 | 陶土製の茶壺・急須、マグカップ、グラス |
茶葉の分量 | 茶壺・急須・蓋碗 → 4分の1弱 マグカップ、グラス → スプーン0.5杯 |
お湯の温度 | 1煎目:100℃ 2煎目以降:85~100℃ |
時間の目安 (95℃) |
茶壺、急須 → 60秒 蓋碗、マグカップ → 蓋をして70秒 (2煎目 -5秒、以降 +10秒ずつ) |
佛手・木柵猫空茶区の2つの楽しみ方
茶壺・急須で淹れる → 茶器を充分温めてから、沸かしたてのお湯をゆっくり回しかけ、蓋をして蒸らします。2煎目以降は少し低温で淹れるといい具合に「旨み」が現れます。中国茶用の小さい杯子で飲むときはやや濃い目に、ティーカップなどで飲む場合はやや薄めに淹れるとおいしいです。
マグカップで淹れる → 先に熱湯でカップを1分以上温めておきましょう。淹れるときは皿などで蓋をすると、茶葉がよく蒸れて香りがアップします。
ワンポイントアドバイス
初めての方は、木柵正欉鐵観音と同時に淹れると、特性がよく分かると思います。