みいしゃんこうちゃ・さんきょうちゃく

蜜香紅茶・三峡茶区

台湾緑茶の郷で特別な手摘紅茶を入手しました。ある条件が満たされた時に作られる、春一番の紅茶です。

外観は明前碧螺春よりも小ぶりで、新芽が金色に輝きます。ベリーのように濃密な果実香とミントの余韻は蜜香紅茶ならではです。透明感のある茶湯からは想像できないほど安定したボディで、煎を重ねてもブレません。お茶は香りだけでなく、舌とのどで味わうものだと再認識されられます。

店長のコメント

金芽がきらきら輝いています。ベリーのような凝縮した果実香とフレッシュミントの爽やかな味わいが個性的です。製茶から1年で味わいがぐんと深まってきました。
追記:2019年は入荷を見送りました

ある条件の時にだけ作られる珍しい紅茶
実は店主も初めて口にしました

明前碧螺春で名高い三峡茶区は、実は紅茶の産地としても有名です。今でこそ各地で手摘紅茶がブランド化されていますが、三峡でははるか以前から手摘紅茶を作り続けてきました。手摘紅茶は通常、緑茶のシーズンが終わってから作られます。しかし今年は珍しいことに、春先にも紅茶が作られました。なぜでしょう。

まれにみる良質な茶青(原料茶)が集まったからです。

生産者側の視点で紅茶を考える

生産者側の視点で考えてみましょう。夏の三峡紅茶は昔も今も一定の需要があります。破格に安い輸入紅茶に屈することなく、三峡紅茶は手摘のコストがきちんと反映された適正価格で取引されています。作り手にとって紅茶は規格化・量産化しやすく、原料さえよければ品質のばらつきも出にくく扱いやすいのです。

その反面、紅茶は半発酵茶と違って、個性を打ち出しにくいのが課題です。夏に大量に作られた台湾紅茶は、半年以上寝かせて渋みや苦味を落ち着かせてから出荷されます。この均質化の工程が、良くも悪くも紅茶の個性を奪ってしまうのです。

春に膨らむ需要と価格

続いて、春先の明前碧螺春について考えます。小さい新芽を摘み集めるわけですから大変コストがかかります。それゆえ春一番の明前碧螺春は、季節需要も膨らんでいることもあって、それなりの高値で取引されます。しかしながら、その取引価格は、諸々のコストと適性な利益を妥当な範囲内で反映させたものにすぎません。良品だからと価格が2倍3倍に跳ね上がることはありません。一番茶がご祝儀価格で取引される慣習も台湾にはありません。

ではもし仮に、めったにないほど素晴らしい茶青が集まったら、製茶場はどう考えますか。

緑茶と紅茶は、原料の良し悪しが完成品の品質に直結します。つまり、こんな素晴らしい茶青を明前碧螺春に仕立てるのは惜しいと感じるのです。明前碧螺春として出荷すれば、間違いなく高評価を受けるのでしょうが、その評価も一定の枠内での話。全体に埋もれてしまい特別感を強調することはできません。

晴らしい茶青をどう使う?

そこで、普段は春には作らない紅茶を作って、緑茶との差別化を図っていく逆転の発想に至ったのです。そんな特別な紅茶を当店は入手できました。明前碧螺春の一番茶よりも3日早い、三峡で最も早く採れた茶青で作られた紅茶です。

良質な手摘紅茶は、寝かせることで確実に旨みが増していきます。熟成速度は東方美人よりも早く、半年も経てば香気の深まりをはっきりと実感できます。

のみくらべは2016東方美人をおすすめします。

お茶のデータ
商品名称 蜜香紅茶・三峡茶区
みいしゃんこうちゃ・さんきょうちゃく
生産地 台北縣三峡鎮
茶樹の品種 黄柑
摘茶時期 2018年明前茶:3月上旬
茶園の海抜 200〜300m
発酵度 全発酵(100%)
烘焙程度
推奨茶器 磁器製の茶壺・急須、蓋碗、紅茶用ポット、マグカップ、グラス
茶葉の分量 茶壺・急須・蓋碗 → 5分の1弱
マグカップ、グラス → スプーン1杯
お湯の温度 95~100℃前後
時間の目安
(95℃)
茶壺、急須 → 50秒
蓋碗、紅茶用ポット、マグカップ → 蓋をして60秒
(2煎目 -10秒、以降 +20秒ずつ)
蜜香紅茶・三峡茶区の2つの楽しみ方

100度の熱湯で淹れる → 香りを楽しむならこの方法が一番です。苦味が出る心配はありません。他産地の紅茶と同じ要領で、茶器を十分に温めてから淹れてください。

95度の湯で淹れる → 火を止めて泡が消えるくらいの水温です。濃く淹れるとより上品な甘みが引き出され、牛乳との相性が増します。

ワンポイントアドバイス

一般的な紅茶よりも煎がききます。蓋碗を使って色味を楽しんでみてはいかがでしょう。