さんきょうびーるーちゅん~とくせんとうへん
三峡碧螺春~特選冬片
これはすごい!
店主もかつて経験したことないほどの良品です。
季節の味わいをお楽しみください。
店主のコメント
なめらかな質感は高冷茶のよう。身体と一体化していきます。冬片の香りは茶湯の中に抱かれていて、口の中で芳香成分がほどけて開きます。旨みはじわじわ糖蜜の甘さへと転化します。余韻はひときわ長く、口全体がいつまでも潤います。
素晴らしい冬片にめぐり逢えました!
●冬片って何?
冬片とは、冬茶の後に作られるお茶です。
定義上は冬至~大寒に作られるお茶を指します。慣習的には「冬茶以降、早春茶以前」のお茶をまとめて冬片と呼んでいます。ざっくり12月以降のお茶と理解しておきましょう。製茶量はごくわずか。
通常冬茶が1年の最後のお茶です。気温が平年並みであったり、中海抜以上のエリアでは茶樹は休眠に入ります。そのため冬片は作られません。
そして、何年かに一度、暖かい気候が続くと冬片のチャンスが訪れます。地球温暖化の影響で、以前に比べると冬片を目にする機会は多くなっています。
今年は冬片の新芽が芽吹いたうえ、幸運なことに、摘茶のタイミングでは涼しい天候に恵まれました。
好条件が揃ってまれに見る良品が完成しました。
冬片は茶葉の生育が揃いやすく、一般に作りやすいお茶と言われています。私もずっとそう思っていました。
ところが作り手さんに話を聞くと、実際は気温が低く太陽光も弱い中での製茶となり、春茶や冬茶にはないまた別の難しさがあるそうです。
●いざ、テイスティング
冬片の特徴は「格別にきれいな美味しさ」です。
赤ちゃんの笑顔をイメージしてください。
肉厚で、明るい緑が交わっています。冬らしい外観です。
お椀に熱湯を注いで、しばらく待ってスプーンで茶湯をひとすくい。
表面張力のあまりの強さにびっくりしました。
質感は高冷茶のよう。なめらかで、口中が潤い、身体と一体化していきます。これほど繊細な冬片は私も初めてです。
質感が柔らかいため、冬片の香りは穏やかに感じます。実際には香りは茶湯の中にたくさん抱かれていて、口に含むと芳香成分がほどけるように開きます。
あまりに上品で、今飲んでいるのが緑茶であることを忘れてしまいそうです。でも味わいにはしっかり奥行きがあります。口中に行き渡ってしばらくすると、旨みが糖蜜の甘さへと転化します。
余韻はひときわ長く、飲みほした後も口全体が心地よく潤います。
茶殻の香りは摘みたてのレモングラスのよう。いつまでも鼻を近づけていたくなります。
●淹れ方とお茶請け
私は沸かしたての熱湯で淹れました。熱湯だと質感がキュッと引き締まります。まろみを立てたい方は少しだけ冷ましたお湯を使いましょう。
お茶請けは和菓子、特に桜餅や季節の生菓子がぴったりでした。
冬片のとろみが玉露の記憶と結びつきます。
21年明前茶(春茶)はいきいきした香味が魅力で、今は熟成感が加わって桃のような気品が育っています。
一方、冬片はのどで味わう通好みのテイストです。
どちらも魅力的な個性を持っています。
飲みくらべをお楽しみください。
心弾む春においしい台湾緑茶。
コラム『春茶と冬茶』を読みながらご賞味ください。
お茶のデータ
商品名称 | 三峡碧螺春~特選冬片 さんきょうびーるーちゅん~とくせんとうへん |
生産地 | 台北縣三峡鎮 |
茶樹の品種 | 黄柑 |
摘茶時期 | 2021年冬片:12月上旬 |
茶園の海抜 | 200m~300m |
発酵度 | 不発酵(緑茶) |
烘焙程度 | - |
推奨茶器 | 磁器製の茶壺・急須、蓋碗、マグカップ、グラス |
茶葉の分量 | 茶壺・急須・蓋碗 → 4分の1 マグカップ、グラス → スプーン1杯 |
お湯の温度 | 90~100℃ |
時間の目安 (90℃) |
茶壺、急須 → 50秒 蓋碗、マグカップ、グラス → 蓋をして60秒 (2煎目 -20秒、以降 +30秒ずつ) |
三峡碧螺春~特撰冬片の2つの楽しみ方
茶壺・急須で淹れる → 少しだけ冷ましたお湯がおすすめです。茶器はしっかり予熱しておきましょう。
蓋碗で淹れる → 茶葉を入れ、高めの位置からふちを滑らせるようにお湯を注ぎます。半分くらい飲んだらお湯をつぎ足します。味わいの変化をお愉しみください。
ワンポイントアドバイス
冬片で作る冷茶もおすすめです。とろっとした質感が際立ちます。