読む台湾茶

龍井茶が消える?

先ほど09年明前龍井茶が到着しました! でも今年で最後かも?今号のコラムは『明前龍井茶が消える!?』です。

メールマガジン2004/4/12号より

明前龍井茶が、、、出てこない!

新茶です! どんどん買ってください!と言いたいところですが、少し残念なお知らせをしなくてはいけません。

明前龍井茶は今年で最後となるかもしれません。製茶量が激減しているのです(涙)

私1人では手が足りず現地スタッフにもサンプルを集め回ってもらったのですが、とにかく少ない。馴染みの茶商にあたっても「今年は入らないよー」との返事ばかり。以前は明前碧螺春と明前龍井茶の製茶量は半々でした。しかし近年は9割方が明前碧螺春で占められ、龍井茶はサンプルを探すのすら困難な状況になってしまいました。

作らない理由とは

理由の1つは消費のトレンドです。

特にここ2~3年はいわゆる青いお茶がブームなのです。龍井茶のような複雑で通好みの味わいよりも、フレッシュで分かりやすい碧螺春の味わいを好む消費者が増えているのです。

現在は昔よりも軽い焙煎を好む人が多いことは、皆さんご存知だと思います。お茶屋さんで半完成品の生茶(火入れを施さないお茶)を求める消費者なんて、以前はめったにいませんでした。

製茶する側にとっても、龍井茶は茶葉に圧力を加える工程が難しく、碧螺春よりずっと品質のバラツキが出やすいのです。それと一部に技術継承の問題もあるようです。

要するに、コストの割に儲からないのです。原料が同じなら「売れるお茶」に加工したいと思うのが自然でしょう。

両者の思惑が一致して、龍井茶の減少に拍車をかけているわけです。

消費自体は増えている

健康志向の観点からも台湾緑茶の人気は高まっています。若い人の間でも緑茶を飲む習慣が根付きつつあるため、消費量は増加傾向にあります。そのため安いお茶を求め中国やベトナムへ産地が広がっているのも日本と同じ現象です。

私にとっては、碧螺春はサンプルも多く選びやすくなった反面、龍井茶は良品を見つけることが年々困難になってきています。飲む人それぞれの好みは置いておいて、流通が明らかに変化していることは事実なのです。

当店の考え方

"今年で最後"とは言いすぎかもしれませんが、来年以降も良いロットが見つかるか心配でなりません。

もちろん品質にこだわらなければ毎年入荷できます。

しかし妥協するくらいなら止めよう、というのが当店の信念です。代金をいただく以上、期待以上の商品をお届けするのが私の仕事ですし、そもそも永年お付き合いのある常連様の舌はごまかせません。

今年は例年になく苦労しましたが、ようやく1ロット押さえました。つい先ほど到着しましたので発売開始します。

今年は1便限定です。どうか大切に味わってください。 (完)

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